記事一覧

色町さんの昔話







これは俺の最初の心霊体験の話しだ。

この話しが心霊体験と言っていいのかどうかはわからないが。

小学校低学年の頃の話し。

俺は三人兄弟の末っ子で、一番上が姉、真ん中が兄だった。

兄弟三人とも動物が好きだ。

家の近所に住み着いている野良猫で人懐っこい猫にミーと名付けて可愛がっていた。

家はマンションだったので動物が飼えなかった。

近くのファーストフードショップ~ドムドムハンバーガー~にあるドムチキン(鳥羽中を揚げたもの)の骨をあげると喜んでバリバリ食べていたのを覚えている。

ある日、家でごろごろしているとインターフォンが鳴った。

出てみると同じマンションに住む同級生の宮だった。

「おー宮どうしたん?こんな時間から遊びにきたん?もう五時やで」

「ミー死んだで」
開口一番、宮は言った。

「どゆこと?」
頭がついていかない。

その日は日曜日で姉と二人、昼食にドムドムでドムチキンを食べて一時過ぎごろにミーにあい、チキンの骨をあげたばかりだ。

「そんなわけないやん」
そう答えた。

「ほんまやってついてきてや」

そう言われて宮についていった。

外は夕立が降っていた。

現場につくと、赤いレンガ敷きの地面に血がついていた。

「どゆこと?」
宮に聞いた

「俺の兄ちゃんが歩いてたら上から声聞こえて見上げたらマンションの最上階から猫落とそうとしてる奴がおって何にしてんねんやめろやっていうのと同時くらいに落とされたって」

宮の兄とは仲がよく、よく一緒に遊んでいて一緒にミーを撫でることもあった。

「それがミーやったん?
これミーの血なん?」
まだ信じられない。

血はレンガの上を夕立の雨のなか少しづつ流れていっていたのを鮮明に覚えている。

「こっちに埋めたらしい、ついてきて」
ついていくと公園の草むらの中に真新しい盛り土があった。

「ほんまにミーなん?」
盛り土をぼんやり眺めながらまた聞いた。

「うん、手足縛られたまんま落とされたんやって」
信じられない話しだった。

「帰るわ」
そう言って家路についた。

帰ると姉も家に帰っていた。

姉にミーが死んだことを告げるとしょうもない嘘をつくなと怒られた。

なぜ自分が怒られにゃならんのか。

理不尽なことに腹が立って、
「じゃあ知らんからなっ」
と怒鳴った。

その後、母と兄が帰ってきてから4人で食事をとったが私はまだ腹がたっていたので一言も喋らなかった。

母はまた喧嘩でもしたんだろうと思い何も聞いてこなかった。

食事が終わり8時を少し過ぎた頃だっただろうか。

インターフォンが鳴った。

母が出ると近所の野良猫にエサをあげている俺達家族は猫おばさんと呼んでいる人だった。

猫おばさんが誰に聞いたのかミーが死んだことを教えに来てくれたのだ。

ミーは人懐こく、誰にでも喉を鳴らしてすり寄ってくる子だった。

猫おばさんはうちの家族が父意外、皆ミーを可愛がっているのを知っていたし、猫おばさんもミーはお気に入りの猫だった。

悲しそうな猫おばさんの顔を見て俺もあぁ本当にミーは死んだんだなと思った。

姉は猫おばさんに聞いてもまだ信じていなかった。

そして母と姉と私の三人が猫おばさんと一緒にミーが埋められた場所まで行くことになった。

俺がミーが埋められた場所まで案内した。

その場所まで行くと盛り土を見て猫おばさんはここだと子供もよく通ってミーも落ち着かないから静かな場所に移そうということになった。

4人で掘り返すと20㎝程でスーパーのビニール袋に包まれたミーが出てきた。

頭がへこんでしまっていたが綺麗な姿だったのを覚えている。

俺はあまりの事に涙も出なかった。

母と姉と猫おばさんはミーを見て泣き崩れていた。

俺はそれがなんだか現実には思えなかった。

四人でマンションの敷地内の駐輪場の端、大きな木の根本にできるだけ深い穴を掘ってそこにミーを埋め直した。

ここならミーも落ち着いて眠れるだろう。

四人で最後にミーを抱き締め。

頭を撫でて

お別れを言った。

俺は最後まで涙は出なかった。




それから学校帰りに毎日ミーのお墓参りに行った。

何日目のお墓参りだっただろうか。


お墓の上にミーにそっくりの黒と白の模様の猫がいた。

俺はミーだと思って駆け寄った。

その猫はマンションの影にスッと入った。

俺がその影を覗き込むまで時間差は1秒もなかった。

そこには猫の影も形もなかった。

今でも断言できる。

あの猫はミーだった。

俺はその時ミーがいなくなって初めて泣いた。

別れを告げに来てくれたのが嬉しかった。

10才の時に両親が離婚して引っ越すことになり。

最後にミーのお墓に行った日、もう来れなくなるかも知れないと謝った。

それから10年以上たってからミーのお墓参りに行った事があった。

ミーを埋めた場所に生えていた木は根本から切られて切り株だけが残っていた。

あの頃はあんなに太く大きく見えていた木が切り株を見てそんなに大きくなかったことに少し驚いた。

ミーに手を合わせてあんまりこれなかったことを謝った。

その時ミーの鳴き声が聞こえた気がした。

そのあと、ミーが住み着いていた所を見に行ってみたらミーによく似た柄の子猫がいた。

ミーは毎年のようにお腹が大きくなっていたのできっとミーの子孫じゃないかと思って撫でようと思って近づいたら一目散に逃げていってしまった。

俺はむしろ安心した。

野良猫はそれぐらい警戒心があったほうがいい。

ミーは人懐っこ過ぎたんだ。



これが俺が最初で最後になると思っていた心霊体験だ。










大変励みになります❗
暇潰しになりましたらポチっと
お願いします❗


にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村

小説家志望ランキング
スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿

非公開コメント