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アリスと魔王 第17話





「・・・・・ま・・じかっ・・・・」

その光景を見たウェインは呟いた。

絶句しているウェインをこきつかって馬車を起こし、一応ミシェルに位置探査の魔法で他に|飛翔悪魔《ガーゴイル》がいないか調べてもたった。

反応が無かったので大丈夫だろうということにした。

ダナンさん(助けた家族の父親)一家は北の港町から闘都に向かう途中だったらしい。

せっかくなので一緒に行くことにした。

お礼に闘都まで|飛翔悪魔《ガーゴイル》を運んで貰うことになった。

私が棄てていこうと思っていたら、|飛翔悪魔《ガーゴイル》の遺体3つでかなりの金額になるらしい。

|回復薬《ポーション》に関してはこっちが勝手に使っただけだからいいと押し切った。

「どうして闘都へ?」

道中の馬車の中で奥さんのヨーメさんに聞いてみた。

「この子達がどうしても武闘大会を見たいと言うので行商ついでに家族で行くことにしたんです」

エレナちゃんを膝枕で寝かして頭を撫でながら喋るヨーメさん。

えっ?

「もう武闘大会終わっちゃってますよ?」

私が言うと

「えーーーっ!そーなの?」

息子のエレンががっくりと肩を落とした。

「そうなんですか?
残念だったわね、エレン」

ヨーメさんが肩を落とすエレン君を慰める。

ミシェルがクスクスと笑っている。

「でも、良かったですね。
今年の優勝者の本気を間近で見れたではありませんか」

えっ?っとヨーメさんが顔をあげる。

「どーゆーこと?」

エレン君がうなだれながらミシェルを見る。

「何を隠そう、そこにいるアリスさんが今年の武闘大会の優勝者ですよ」

「「「えー!!!」」」

ヨーメさんにエレン君、御者しているダナンさんまで叫んだ。

なんか照れる。

「それに、武闘大会でも本気は出していませんでした。
さっきの|飛翔悪魔《ガーゴイル》との戦いの方がよっぽど凄かったですよ。
武闘大会で戦った私が言うんですから間違いありません」

「通りで、|飛翔悪魔《ガーゴイル》をまるで子供扱いするわけだ!」

ダナンさんが感嘆の声をあげた。

「ちなみにあちらで走っておられるのが準優勝者のウェイン様です」

馬車は幌が燃えて見晴らしが良くなっている。

ゆっくり走る馬車の横を私の言われて走らされているのはウェイン君だ。

「ほらっ! 疲れた時こそしっかり集中して心現術を使えるようになんないとっ!」

一応、荷物は全部馬車に乗せてもらって身軽ではあるが、かなりキツそうだ。

全然、心現術は発動出来ていない。

完璧に体だけの力で走っている。

心現術に弱点だ、頭がしっかりしていないと発動が難しい。

私もランピオンに襲われたとき、最初に頭を強く打ったせいで心現術を使えなくて負けた。

それが悔しくて、あれから散々鍛練してかなりの疲労状態、酸欠状態でも使えるように訓練した。

そのお陰で心現術の精度もかなり良くなった。

ウェイン君はもう無言で走っている。

「スッゲーや!おねーちゃんあの人を弟子にしたの?
俺のことも弟子にしてよ!」

エレン君が無邪気にはしゃぐ。

「いや、弟子じゃないんだけど」

「ほらっ、エレン。
アリスおねーちゃん困ってるでしょ」

ヨーメさんに言われてはーいと返事をする。

「でも、それを言うならミシェルも武闘大会の準決勝で私と戦ったのよ。
凄く強かったんだから」

「凄いな、武闘大会の上位者が三人もいるんじゃ魔物の群れが来ても安心だ」

ダナンさんが笑いながら言った。

「俺もおっきくなったら武闘大会に出るよ!」

キラキラした瞳が良いなエレン君。

「でも、本当に凄かったですね。
空中で飛閃を撃つなんて初めて見ました。
飛閃は発動がそもそも難しいですし、それを踏ん張りの効かない空中でなんて・・・
アリスさんは一体、心現術をどれくらい鍛練なさってこられたんですか?」

ミシェルも興味深く聞いてきた。

「えっと、1年弱くらいかな」

「まじかっ!」

馬車の隣で聞き耳をたてていたウェインが叫んだ。

ミシェルも信じられないとばかりに目を見開いている。

ウェインが馬車に飛び乗ってきた。

「いくらなんでも天才すぎないか?
普通、飛閃を撃てるようになるにも2~3年はかかる!」

ウェインが納得いかなそうに言う。

「飛閃ってなに?」

「まじか、心現術で斬撃を飛ばす事を飛閃って言うんだ」

「そーなんだ、そう言えば。
私に心現術を教えてくれた人も言ってたな」

2~3年やっても出来ないやつは出来ないって

「その、アリスに心現術を教えたのってどんな奴なんだ?名前は?」

「ノイマン・ヴァンデルフよ」

「「えぇっ?」」

ウェインとミシェルが同時に驚いた。

ミシェルはウェインが喋っているときは絶対に口を挟まない。

そんなミシェルが声をあげたのだからよっぽど驚いたんだろう。

「知ってるの?」

「知ってるも何も、まぁついでみたいなもんだけど。
ノイマンさんを探している旅の途中でもあったんだ」

「そーなの?」

「あぁ、ノイマンさんは今どこに?」

「あの・・・」

気分がどっぷりと沈んでいく。

まだ、全然吹っ切れた訳じゃない。

考えないようにしてただけ。

ノイマンはもう

「彼は死んだわ」

また、涙が出そうになる。

「なっ!」 「っ!!!」

二人がまたあり得ないという顔をする

「そんなバカな、彼が死ぬはずがない」

「私だって信じたくないけど」

「違う!そう言うことじゃない!」

私の言葉をウェインが遮った。

「信じたく無いとかじゃない、死なないんだ。
ノイマンさんは天秤の大賢者、フォン・ヴァンデルフが造り出した|人造人間《ホムンクルス》!!
不老不死だ!!」

はい?

「だから、死ぬはずがない!
死なないんだ」

じゃあ・・・・

「ウェイン様、まずはアリスさんの話を詳しく聞きましょう。
特長や何か魔法を使っていなかったかなど」

そうか、人違いということもある。

ウェインも頷いた。

「すまない、じゃあ何か魔法は使っていなかったか?」

「えっと、私が見たのは指を弾いて|伐《き》られた木をなん十本もいっぺんに治したり。
私を抱えて空を翔んだりとか」

「呪文詠唱無しで指を弾いて?」

ウェインが確認する。

「えぇ」

「翔んだ時は?」

「ただジャンプしたらどんどん高く上がっていったわ」

「そんな真似が出来るのが他に何人もいるはず無い。
ましてや、同姓同名で」

ウェインはミシェルの方へ目で同意を求める。

「そうですね。
亡くなられたときの状況は?」

ミシェルが聞く。

「分からない、私が気を失っている間だったから。」

「どうして気を失っていたんだ?」

「心臓を魔法剣で貫かれて焼かれたのよ、気が付いたのは二週間後。
起きたときにはノイマンは死んだと聞かされた。
私はそれでノイマンが私を助けるために無茶な魔法を使って助けたせいで死んだと思ってたわ」

一息に喋る。

「心臓を焼かれた?
いくらなんでも、ノイマンさんでも治せないはずだ・・・・」

ウェインが黙りこんだ。

ミシェルは暗い顔をしている。

「アリスさん、少し失礼します」

そう言って私の胸に、心臓の位置に手を触れた。

「まさか・・・・」

ウェインが見守るなかミシェルは私の胸から手を放した。

「間違い無さそうです」

ウェインは何も言わない

「なに?どーしたの?」

言い様の無い不安が襲う・・・



「・・・・・アリスさん・・・心臓が・・・・・・・動いていません・・・・・」






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