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アリスと魔王 第18話





「じゃあ、なんで生きてるの?」

頭が真っ白になった。

胸に手をあてると確かに・・・

動いていない。

今まで気付かなかった自分がちょっと可笑しい。

「恐らくですが、ノイマン様の・・・・
つまり、|人造人間《ホムンクルス》の核を移植したのではないでしょうか」

核?

「それなに?」

「詳しくはわかりません。
天上の石、神々の杖の欠片、賢者の石。
そして、魔王の心臓。
等と言われています。
つまり、この世の物とは思えない凄まじい力の結晶。
それが|人造人間《ホムンクルス》の核だと言われてます」

話がいきなりでかくなってきた。

「確かに、核を自分で抜き取りでもしない限り。
あのノイマンさんが死ぬはず無い。
そして、いくらノイマンさんでも失った心臓を再生なんて出来ないはず。
それをするために自分の核を使ったって言うなら・・・・・
話の辻つまは合うな・・・・」

ノイマンが|人造人間《ホムンクルス》??

思考がついていかない・・・

「問題は、何故ノイマン様が命をかけてまでアリスさんを救ったのかです」

「そうだな、あんな事件のせいでノイマンさんが王都を出ていったとはいえ。
ノイマンさんは魔王の封印を管理するために天秤の大賢者が造り出した存在だ。」

「アリスさんはヴァンデルフの姓を名乗っておられますが、婚姻なされたのですか?
差し支えなければお伺いしても?」

ビクッとなった

「いやっ、全然そんな関係じゃなかったんだけど、そのー何て言うか・・・
私は奴隷身分だったから姓がなくて、自分を買い戻したときに姓を名乗ってもいいから。
他に思い付かなかったし・・・」

好きな男の子の姓を自分の名前にくっ付けてノートの端に書いていたのを見られた気分だ。

恥ずかしい・・・

「ナニ照れてんだよ、緊張感ないな」

ウェインが呆れている。

そんなこと言われても恥ずかしいもんは恥ずかしい。

「つまり、恋仲だったんでしょうか?」

冷静にミシェルが聞いてくる。

「そんなんじゃなかったわよ、まぁ・・・
私の片思いかな」

ミシェルが考え込んでいる。

「あんな事件ってなに?」

ん?っという顔をするウェイン。

「さっきのノイマンがあんな事件のせいで王都から出てったって言ったじゃない?」

「あぁ、3年程前の話だ。
王様がトンでもないクソヤロウでな。
問題ばかり起こすやつだったんだが・・・
ダメだ、ミシェル説明してやってくれ」

腹が立って上手く喋れないといった顔のウェインが話をミシェルに丸投げした。

ミシェルも暗い顔をしている。

「かなり問題のある王でした。
今は、その王の前例のせいで王政から議会制になり、王族から権利を剥奪したほどです」

ウェインが隣で苦々しい顔になっている。

「一体ナニやったの?」

「王はノイマン様のように自分も不老不死になりたいと願われました。
齢50を越え、自らの肉体の衰えを感じたのでしょう。
そして目をつけたのが、ノイマン様のご子息でした。」

ビックリした、今日はよくビックリする日だな。
ノイマン子供いたんだ。

「そして、ノイマン様の留守の間に・・・
ご子息を母親から奪い、抵抗した母親を殺め。
ご子息までも殺められたのです」

「なっ」

目の前が暗くなった気がした。

「恐らくですが、ノイマン様のご子息が不死かどうかを確かめたのでしょう。
戻られたノイマン様を拘束しようとまでしましたが、勿論失敗しました。
そして、ノイマン様は怒り狂い王を殺して、王都から姿を消しました」

なんてひどい話だ。

そんなノイマンが私なんかを愛して命を助けてくれたなんて思っていた自分が恥ずかしい。

「もしかしたら、永い時を生きることに疲れていたのかも知れません。
それに、もう自分の大切な人を失うのが嫌だったのでしょう。
目の前で死にそうな大切な人をもう失いたくなかった。
私は・・説明がつくと思います・・・」

ミシェルは悲しそうにそう締めくくった。

ウェインは腕を組んで考え込んでいる。

今となってはノイマンの気持ちは分からない。

私のこと、大事な人って思ってくれてたのかな・・・

「暗い空気になっちまったな。
ほらっ、闘都が見えてきたぞ!」

ダナンさんが声をかける。

西日を受けて夕焼け色に染まった闘都が出迎えてくれた。

ノイマンは私の思っていた以上に重くて辛い物を背負って生きていた。

昔の事とかあんまり喋んないし、見ため若いのに妙に落ち着いた雰囲気だったのも納得だな。

「ノイマンって何歳だったの?」

「さぁな、少なくとも100年は生きていたはずだ」

100才か・・・

凄い相手に初恋したもんだ・・・

「おねーちゃん凄い人に教えてもらってたんだね!」

不意にエレン君が声をかけてきた

「うん、そーだね」

くしゃくしゃっと頭を撫でてやった。

可愛い奴だ。

「そう言えば、なんで二人は王都に帰ろうとしてたの?
探してたノイマンも見つかってないし」

「嫌な噂を聞いたんだ。
王都の魔王の封印が弱くなってるってな。
でも、これで合点がいった。
ノイマンさんが死んだのと何か関係があるんだろう。
早く戻らないと・・・」

「魔王が?」

「あぁ、すぐに出発しよう」

なんだか、どんどん話が大きくなっていくな・・・

「それなら、馬車があった方が何かと便利じゃないか?
さすがに王都までは行けないが、魔族の包囲の外までなら一緒に行こう」

話を聞いていたダナンさんが提案する。

「いやいや、ありがたい提案だけど危険な旅になるし大丈夫です。
気持ちだけもらっておきます」

「気にしなくていい、私たち家族は行商を生業にしてるから旅にはなれている。
行商のついでに行くようなもんだ。
護衛がいてくれれば安心だしな」

ダナンさんが食い下がる。

「いいんじゃない?
お言葉に甘えても」

私の言葉にウェインが思案顔で唸る。

「そうしましょう。
私たちもお役にたてればお礼が出来て嬉しいですし」

ヨーメさんが後押しする。

「では、決まりだな。
先ずは闘都で旅の準備だ。
エレナも教会へ連れていかないと」

「私たちはギルドに報告ね」

「ギルドってハンターギルドのこと?
行きたい! 僕も連れてってよ!」

エレン君がキラキラ目でせがむ。

「こらエレン、アリスさん達の邪魔になるわよ」

ヨーメさんに怒られた。

「良いですよ、エレン君一緒に行こっか?」

「ほんとにっ!」

「それじゃあ、また中で落ち合いましょう。
私たちはギルドに泊まりますから、準備を済ませて何も問題なければ明日の朝一番に出発しましょう」

ウェインが段取りを決める。

「では、私たちもギルドに今日は泊まろう。
また夜にでも話して今後の段取りを決めますか」


日の落ちた闘都の門をくぐった。







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