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アリスと魔王 第19話





まず、ギルドに寄ってもらって|飛翔悪魔《ガーゴイル》を下ろしてもらった。

「では、すみませんがエレンをよろしくお願いします。
エレン、アリスさん達の言うことをよく聞くのよ、迷惑をかけないようにね」

ヨーメさんがエレン君に釘をさす。

「大丈夫だよ母さん」

「それでは、また後で」

見送ってからギルドに入っていった。

受付嬢さんとすぐに目があった。

「アリス様どう・・」

言いかけて私たちの持っている包みを見る。

「まさか、もう行ってこられたんですか?」

「着いたら|偶々《たまたま》行商の馬車を襲っている所に出くわしたんです。
そのせいで思いの外早く終わりました」

「流石アリス様ですね!
素材の受け渡しは奥のカウンターまでお願いします。
その間に依頼の達成処理をしておきますね」

「ありがとうございます」

なんか苦手だなー・・・

受付嬢さん。

よくしてくれるんだけど。

|飛翔悪魔《ガーゴイル》三体をウェインと一緒に奥まで運ぶ。

カウンターがあるけど人がいない。

「スミマセーン」

「うーい!ちょっと待ってくれ!」

裏から声が聞こえた。

少ししたら前掛けで手を拭いながら小太りのおっちゃんがやって来た。

「すみません、|飛翔悪魔《ガーゴイル》の引き取りをお願いします」

包みをカウンターに置いた。

「ほう、|飛翔悪魔《ガーゴイル》か。
見せてもらうよ。」

そう言って包みを開ける。

「凄い切り口だな!
一太刀で仕留めたのか⁉」

おっちゃんが|飛翔悪魔《ガーゴイル》をまじまじと見つめている。

「こっちは二太刀だけど」

残りの|飛翔悪魔《ガーゴイル》もカウンターに載せる。

「すげえ腕だな。
|飛翔悪魔《ガーゴイル》はなかなか良い素材になる。
これなら金貨40で買い取ろう」

金貨40!!

凄い金額だ!

私を買い戻した金額が金貨30枚だった。

なんか複雑な気分だ・・・

「はいよ、全部で金貨120だ。
白金貨が無くてな、重たくてすまん」

まじかっ!!
一体で金貨40枚だったの!!

「あ・ありがとうございます」

少し震える手で金貨の入った袋を受け取った。

「凄いわね、三人で分けても一人金貨40枚あるわよ」

振り返ってウェインとミシェルに言うと

「俺たちは何にもしてないんだ、いらないよ。
初仕事の報酬にしちゃあ上出来だな。
いや、出来すぎなくらいだ」

「いやいや、独り占めは出来ないわよ!
初めてでいろいろ手伝ってもらったし!
きっちり分けましょう!
それに私だけだったら絶対死体なんてもって帰ってないしね」

ウェインはミシェルと顔を見合わせてやれやれという顔をする。

「わかった、じゃあ依頼の報酬だけは分けよう。
それで良いだろう?
それだって俺たちは何にもしてなから貰いにくいんだ」

うーん、あんまり言っても良い顔しなそうだな。

「それじゃあ、後で食事でも奢るわ。
でも、今度からこういう時は三等分ね!」

「りょーかい」

「分かりました」

ウェインはまだやれやれという顔をしているが、ミシェルはなんだか楽しそうだ。

「ハンターってなんかカッコいいね!」

一部始終を邪魔にならないように見ていたエレンが憧れを込めて言う。

「そう?」

少年の心に何かが響いたらしい。
男心ってやつかな?

受付嬢さんの所に戻った。

「もう済んでいますよ。
お疲れ様でした、こちらが今回の報酬の金貨110枚になります」

ジャラッと良い音をたててカウンターに金貨の入った袋が置かれる。

「ありがとうございます」

「続けて討伐依頼を受けられますか?
新しいものは届いていませんが」

受付嬢さんがにこやかに聞いてくる。

「いいえ、これからちょっと遠出するんです。
また戻ってきたらよろしくお願いします」

「えっ!そうなんですか」

受付嬢さんはすごく残念そうな顔になった。

「残念ですが、でもアリス様の初依頼の受理が出来て嬉しかったです。
また闘都へ御越しの際は是非、いらしてくださいね」

「喜んで」

受付嬢さんにそう言ってギルドを後にした。

またウェインは買い出しをミシェルに頼んで酒場に残った。

まぁ、私もミシェルと二人のほうが楽しいので構わない。

今回はエレンも入れて三人だ。

「今度はどれくらい分準備するの?」

ミシェルに聞く。

「馬車があるので次の町までの日数分で良いと思います。
本来なら大荷物にならないように途中で狩りや野草を採ったりするんですけどね。
アリスさんはどうしていたんですか?」

「私はほとんど採ってしてたかな。
狩りはしなかったけど、川や湖があったら魚はよく捕ったわ。
お金も無かったしね」

「へー、魚ってどうやって捕るの?」

エレンが聞いたので「これで」っと言って釣り針と釣り糸を見せる。

「僕、魚釣りってしたこと無いんだ!
今度教えてよ!」

興味津々で瞳を輝かせる。

私はまたくしゃくしゃっと頭を撫でながら

「今度ね」

と応じた。

「時間があるならそれでも良いのですが、今回は少し先を急ぎたいので食材を揃えて移動に重点を置きましょう」

「それじゃあ、食材の前に魔法具屋さんに行かない?
|回復薬《ポーション》も欲しいし、|飛翔悪魔《ガーゴイル》の尻尾も返しましょう」

ミシェルも応じる、買い物はかさ張らない物からが鉄則だ。

エレンも魔法具屋と聞いて嬉しそうだ。
行ったことはあるらしいが何度行っても楽しいらしい。

まぁ、わかるっちゃ分かる。

そのあとは、食材を揃えようと思ったが、どうせなら馬車で買い出した方が楽だ。
ということになって酒場に帰った。

食材は明日の朝一でも良いだろう。

酒場に戻るとダナンさんたちも着いていた。

見ると娘のエレナちゃんが元気そうに椅子に座って飲み物を飲んでいた。

「エレナ!良かった!元気になったんだね!」

エレンが嬉しそうに声をかける。

「おにーちゃんどこ行ってたの?」

「魔法具屋さんとか」

良いだろう?っと言わんばかりだ。

いーなー、っと不満そうな声をあげるエレナ。

「アリスさんに迷惑かけなかったでしょうねエレン?
それにエレナ!会ったらすぐにお礼を言いなさいって言ったでしょ?
あなたの命の恩人なのよ」

「ありがとうございます」

っとエレナちゃんがペコリと頭を下げる。

「いえいえ、元気になって良かったね。
魔法具屋さんも今度一緒に行きましょう」

と言ったら「ほんとにっ!」っと目を輝かせた。

可愛い奴だ。

聞けば私達と別行動のあとわりとすぐに意識を取り戻して元気にしていたそうだ。
一応教会にも行ったが何ともないと神父さんが言ってくれたらしい。

そのあとは皆で食事をして、明日の朝一で食材の買い出しをして出発という段取りに落ち着いた。

皆、食事を済ませたら話もそこそこに就寝することになった。

いろいろあって長い一日だった。

私はベッドに入って、物思いに耽った。

ノイマン・・

自分の心臓を渡してまで・・・

・・・どうして私を助けたんだろう?

仰向けに寝ながら胸の傷を指でなぞる

グッと胸を手で押さえるがやはり心臓は動いていない

「魔王の心臓か・・・」

声に出して呟いた。






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