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アリスと魔王 第27話





「ウェーイーンくーん!手伝おうかー?」

|一つ目の巨人《サイクロプス》と絶賛激闘中のウェイン君に声をかける。

こん棒を潜り抜けて足や腕、胴を切りつけるが固さに押されて刃が通らない。

「ウェインくーん!集中集中ーー!!
心現術でしっかり研ぎ澄ましたら君なら斬れる!!」

私が声援(ガヤとも言う)を送ると

「まっ・・じかっ!!」

|一つ目の巨人《サイクロプス》のこん棒を避けながら唸る。

んー、ウェイン君にはまだ早いかな?

「ウェインくーん!手伝おっかー??」

・・・・・・・

あっ、黙った。

手伝われんのは悔しいのね。

いや、集中してるのかな?

ウェインがこん棒を飛び下がって避けて姿勢を低くして構える!

おっ?

|一つ目の巨人《サイクロプス》がこん棒を振り上げた瞬間踏み切って下から斜めに切り上げる!!

仕留めたかに見えた刃は|一つ目の巨人《サイクロプス》の固い皮膚にまた弾き返された。

「小僧、お前では俺は倒せない」

|一つ目の巨人《サイクロプス》が嘲るようにウェインに言い放つ。

そして観戦している私達の方を見て倒れている自分の同胞を見た

「なっ!」

切り裂かれた同胞の亡骸に驚愕する。

「バカな」

後ずさり始めた

ウェインはもう一度集中して剣を構える!

「はぁっ!!」

気合一線!

|一つ目の巨人《サイクロプス》に斬りかかるがやはり刃が通らない。

「どけっ!」

ウェインをこん棒で振り払って逃げ出した!

逃げられたら不味いかな?

私は鞘に納めた剣を抜打ち様に

「しっ」

っと息を吐いて飛閃を撃った!

放たれた真空波は|一つ目の巨人《サイクロプス》を肩口から両断した。

「・・・まじか」

なんだか肩を落とすウェイン君。

「さぁ、早く馬を探しましょう」

肩を落とすウェインを急かす。

|一つ目の巨人《サイクロプス》に驚いて馬が2頭とも驚いて逃げてしまったのだ。

「あぁ」

気を取り直して剣を鞘に納め、馬の逃げた方向に急いだ。

空を覆い隠すように鬱蒼と繁る大木の枝を縫うように日の光が注ぐ。

地面の馬の足跡を探して後を追うがなかなか捕まらない。

地面のには大木の根がさながら大蛇のように這っていて、根には苔が付いている。

馬の足跡を追うのはさほど難しく無い。

苔が剥がれていたり、地面は湿気を含んでいるので足跡が残りやすい。

とは言え、相手は4本脚なので悪路でも移動が速い。

「歩幅が狭くなってきた、そろそろ近くにいるかもしれない」

ウェインが足跡を調べながら呟いた。

「馬屋のおっちゃん、ハンター用に訓練された馬だからちょっとやそっとじゃビビらないって言ってたのに一目散に逃げてったわね」

「さすがに|一つ目の巨人《サイクロプス》はちょっとやそっとじゃ無かったんじゃないでしょうか」

ミシェルが真面目にちょっと面白い。

「なら許してあげましょうか」

私がへらへら笑っていると。

呑気だな。

足跡を調べながら歩くウェインが呟いた。

もう認めよう、私は少し緊張感が足りないかもしれない。

馬を追っていくと湖に出た。

馬は水辺を辺りを警戒しながら2頭で寄り添うように立っていた。

「見つかって良かったわね」

一応小声で呟いた。

辺りが開けているのですぐ魔物に見つかりそうだ。

「あぁ、早く馬を連れて移動しよう」

ウェインも警戒している。

物音をたてないように足早に馬に近付いていく。

馬は私達に気付いて大人しく待っている。

馬の頭を撫でながらよしよしと声をかけてやる。

「行こう」

3人で馬の手綱を牽いて去ろうとした瞬間

「ぐわっ」

ドボンッ

後ろを振り向くとウェインがいない!

私はすぐに外套と|鋼の胸あて《ブレストプレート》と靴を脱いだ!

「ミシェルは待ってて!」

そう言ってすぐに大きく息を吸い込んで湖に飛び込んだ!

視界はそこまで悪くない。

どんどん潜っていく

いたっ!

触手に絡まれて身動きのとれないウェインが力なくもがいているがもう息が続きそうにない!

私は剣を抜いて触手を切り裂いていく!

触手が次々に私に襲いかかってくる!

よく見れば触手に吸盤がある!

えっ?湖にまさかの|巨大烏賊《クラーケン》!?

ぼやぼやもしてられない!

気を失いかけているウェインを抱き寄せて水面に上がろうとするが今度は私の足に触手が絡み付く!

斬ろうとした瞬間、剣を持った腕まで絡み付かれた!

かなり不味い!

私はウェインに口移しで空気を送り込んでウェインを離した。

離した手でウェインに上に上がるようにジェスチャーして剣を持ち替える。

絡んでいた触手を切り裂いて|巨大烏賊《クラーケン》に向かって進んで行く!!

水面に向かってもコイツは見逃してくれないだろう。

だったら仕留めてやる!

水中でも心現術で加速出来るのは実験済みだ。

かなり速度は落ちるが・・・

迫り来る触手を切り裂きながら|巨大烏賊《クラーケン》の目を貫いた!

だめ押しに体を切り裂くと触手を出鱈目に振り回してくる!!

一体どんだけ足はえてんだ!?

触手がお腹に直撃した!

空気を吐きそうになるが何とか堪える!

くっそ!水中なのになんて威力だ!

流石に相手の方が速い!

とは言え目を片方潰したので攻撃は出鱈目だ、掻い潜り切り裂いて距離を詰めて今度は深く剣を根元まで射し込んだ!

仕留めたかと思って油断した!

腕ごと体を巻き取られて身動きが出来ない!!

|巨大烏賊《クラーケン》を見ると片目で怨めしそうに私を睨んでいる!!

|巨大烏賊《クラーケン》が体を上げて触手の根元をこちらに向けると鳥の嘴のような歯の他にも黄色い牙が無数に並んでかなりグロテスクだ。

渾身の力を込めて触手を解こうとするが締め上げる力の方が遥かに強くて無理だ!

ごぼっと息を吐いてしまった!

意識が霞んでくる。

くそっ!

ノイマンがいなくなってから、どんな事でも一人で切り抜けられるように散々鍛練したのに!


グロテスクな牙が目前まで迫る!!


意識が・・・


諦めてたまるか!!!


心現術で自分の力を思いきり押し上げる!


(ぬうぅあぁぁぁぁ!!)

絡み付く触手を押し退けるように腕を思いきり押し広げる!!

少し押し勝ってきた!

このまま触手を千切ってやる!!

さらに渾身の力を入れるが|巨大烏賊《クラーケン》がさらに強く締め上げてくる!


・・・くそっ!!


・・・・意識がっ!!!



その時、蒼白い閃光が辺りを包んだ!

私を掴んでいた触手が緩む!

すぐに水面に向かって泳いだ。


「ぶはっ!!」

水面に顔を出して空気を目一杯吸い込んだ!

隣を見るとミシェルが水面に上がってきた。

二人で岸まで泳いで行くとミシェルは手に杖を握っていた。

あの閃光はミシェルの魔法だったのか。

「ありがとうミシェル。
流石に死ぬかと思ったわ」

息も絶え絶えに礼を言った。

「いえ、助けが遅くなってすみません。
水中に行く前に魔法を完成させておくのに手間どっていたんです」

「いやいや、本当に助かったわ」

「大丈夫か?」

ウェインが私に手を差し出した。

その手を取って立ち上がる。

「なんとかね、ウェインも大丈夫そうね」

「あぁ」

なんだかウェインがまっすぐ私を見ようとしない。

ん?

「アンタもしかして照れてんの?」

「いやっ!ばっ!!そんなわけないだろう!!」

分かりやすく狼狽えるウェイン君。

さてはキスは初めてかな?

「ファーストキスだったのかしら!?
ごめーん!!でもあれはノーカウントでいいんじゃない?」

笑いながら冷やかしてやった。

「べつに照れてない!」

そんなしょうもないやり取りをしていると

ザバァッッ

うしろの水面に|巨大烏賊《クラーケン》が上がってきた!!

「んなっ!!」

そういえば剣をアイツに突き刺したままだ!

ルシールは馬に載せていて手元にない!

ウェインとミシェルが構える!


・・・・


・・・・・・


動かない。



三人で顔を見合わせて笑った。

死んでも驚かせてくれるとは。

私は浮かんだ|巨大烏賊《クラーケン》まで泳いでいって剣を引き抜いた。

改めて見ると滅茶苦茶デカい!

頭だけでも5~6メートルはありそうだ。


「とうぶんイカは食べたくないわね」


私がそう言うとまた三人で笑った






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